1990年以前、産業界における技術革新は各業界における一部の大企業の中央研究所によって進められてきました。 研究所の研究者と事業部門の事業担当者との意識のギャップは今よりも大きかったかもしれませんが、 自社の事業のために自社で開発されたプロダクトを使うのが普通であったろうと思います。
しかし、PCなどの安価な研究ツールとインターネットという知識の流通インフラとが存在する今日では、 個人、大学、スタートアップ企業なども含めて、 大企業以外の多くのプレーヤによって産業界における技術革新が達成されています。 また、CiscoのようにR&Dの代わりにM&Aによって自社の商品ラインナップを追加して成功する企業も現れました。 このような状況において、 企業の事業部門からみれば自社の研究所の開発物をあえて使う必要はなくなり、 大企業の中央研究所は不要なのではないか とよく言われるようになりました。
Open Innovation は現代において大企業における研究所の役割をどう変えていくべきか を提言しています。IBM, Intel, Lucent (Bell研)などの事例を紹介しています。 また、方法論として、IP(特許など)の活用に関しても考察しています。 日本の確立された企業の研究者の方へは大変参考になると思います。 (私もある企業の研究所に勤める人間です)
レビューでは本の論旨を簡単に紹介し、企業の研究所に勤める人間としての私の考察を加えていきたいと思います。 残念ながら邦訳はまだ出版されていないようですが、このレビューで興味を持ったらぜひ本を購入して、 深く読んでみてください。