7章:Creating New Ventures out of Internal Technologies

7章ではR&D成果を社外で事業化する活動の例としてLucentのNew Ventures Groupを紹介しています。

LucentのNVG(New Ventures Group)の概要

NVGの運用プロセス 

社内対立(成果を社外で事業化することに対する社内事業部門の反発)をマネージするプロセス

新規事業化におけるプロセス

市場の不確実性に対応するため、計画を数ステージに分けて、見極めポイントを定義している。
  1. initial evaluation phase: 600万円から1100万円の配算。 2〜3ヶ月の活動。
  2. market qualification phase: 6000万円から1.1億円の配算。 3ヶ月から12ヶ月の活動。 ビジネスチームを編成する。 ビジネスプラン作成、プロダクト開発、ユーザテスト、トライアル、などが実施される。
  3. business commercialization phase: ビジネスプランが承認されて、このフェーズに移行する。 ベンチャーとしての体制を設立し、事業化を推進する。 かつてはLucentだけで資金割り当てしていたが、やがて社外のVC達からの資金も加えてベンチャーを設立するようになった。
  4. exit: ベンチャーのビジネスがうまくいったら、なんらかの形でcapitalizeする。 Lucentの事業部門に吸収させる、他社に売却する、株式会社化する、などが考えられる。

モチベーションの喚起とインセンティブの与え方

大企業のサラリーマン社員によるベンチャーにおける根本的な課題への対処。 つまり、新会社に出向しているLucent社員にアントレプレナーのようなモチベーションを喚起するためにどうしているか? 

NVGの問題と結末 

NVGがもたらした問題

活動の正当性に対する疑問
活動を正当に評価することがむずかしい。NVGがなければ、本当に事業化できなかったのか?  NVGがあるのとないので、Lucentの事業がどう変わったのかを定量的に評価することが難しい。 つまり、Lucentにとっての戦略的メリットがみえない。 また、NVGによる新会社の市場評価がLucentの投資額よりも上回っているかに基づき財務的メリットを評価することは考えられる。  しかし、株式市場が低迷している現在では、財務的メリットで正当化することは難しい。
社内政治的混乱

NVGとLucentとの別離 

考察:戦略ビジョンなき社内ベンチャー活動への警鐘 

たしか類似の過去の事例としてXeroxのNew Technology Ventures があったと思いますが、Xeroxの場合も長続きしませんでした。 

共通している問題点はNew Ventureの自社事業にとっての戦略意義を明確化せずに活動してしまったということではないかと思います。例えば、LucentのNVGの運用プロセスからも、事業部門が不要とみなした技術について開発投資を回収するという動機が感じられます。

自社の将来事業にとって重要な技術・市場であるが、既存事業部門では推進しずらいので、独立の組織によるベンチャーで開拓する」という戦略判断に基づいて、New Ventureを行うことが重要でしょう。

本章は「将来の事業戦略とは無関係にやみくもに新たな収益源を創ろうとする社内ベンチャー活動は長続きしない。」という警鐘を鳴らしていると思いました。