1章では、未知市場でビジネスモデルを探索するためにはVC的なマネージメントが必要なので、 確立された企業の中で新市場開拓の活動はできないことを原理的に説明しています。 Not-Sold-Hereの概念は研究成果を市場で開花させるための方法論としては納得できるのですが、 一方で企業にとっては、研究開発というリスキーな投資活動に見合う活動になるだろうか、と疑問に思いました。 Xeroxの場合、成果をspin-offさせるときにベンチャーの資本持分を得たそうですが、 それによって研究開発投資につりあう対価が得られたのかは疑問です。
特に、成果をオープンに流通させると他社も同じ条件で入手可能になるので、 研究開発投資が戦略的という位置づけでなくなります。 当然の帰結として、 「研究部門の成果が市場に流通するのであれば、他社と同様に必要なものだけを買えばよいので、研究部門に資金を拠出したくない」 ということになるでしょう。 [1章から本質的な問題に言及してしまった...]
PARCの近況について調べたので、簡単に紹介します。 BusinessWeekの2000年の記事 の通り、日本の事務機器メーカーとのコスト競争によって本業の利益が減少していくなかで、 PARCを売却すべきという声が高まっていたようです。そしてついに、、 Xeroxの2001年末のプレスリリースの通り、 2002年1月にPARCはXeroxから独立した子会社となりました。 新しい会社は、特許などの知財ライセンシングビジネス、新事業創造、受託研究の3本柱で事業活動を行うようです。
PARCを子会社化したあとのXerox幹部へのインタビューが ビジネスウイークに掲載されていました。下記のコメントからも推察される通り、 研究開発という投資活動に対するパートナを求めることも子会社化の目的に含まれていたようです。しかし、 コメントの最後にnot yet investorsとあるとおり、当然ながら投資パートナ探しは困難なようです。
But we also recognize that PARC can do much more than just serve Xerox' needs. The technologies they develop could benefit others as well -- and should. So the intent is to provide a set of partners that sponsor work at PARC, and eventually some of these partners could become investors and partial owners. PARC already has some strategic research partners but not yet investors.
Xeroxのパートナ探しに関連する記事として VC tries to find old PARC magic (2000年 Business Journal) があります。
結局、ある一企業が技術の(インテグレーションでなく)創造活動を行うためには、 なんらかの理由で本業で高いシェアと利益率を維持できていることが必須条件なんだろうか、 という感想を抱きました。