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2005年12月19日

2005年、MOT学習室で売れた本

今年もあとわずかとなりました。 Amazonアフィリエイトの履歴をもとに、MOTLABで売れた本のランキングを作ってみました。 技術経営に関する本をお探しの方は参考にしてください。 レビューで扱った本の中では、「OPEN INNOVATION」が1位、「日本のもの造り哲学」が2位でした。

1位 OPEN INNOVATION―ハーバード流イノベーション戦略のすべて(日本語版) (英語版はこちら)
1位 MOTの真髄~イノベーションはここから始まる
3位 図解入門ビジネス 最新MOT(技術経営)がよーくわかる本―技術者と企業のための実践マニュアル
3位 技術系のMBA「MOT経営」入門
5位 MOT(マネジメント・オブ・テクノロジー)入門―技術系のMBA
6位 日本のもの造り哲学
6位 イノベーションへの解―利益ある成長に向けて (日本語版) (英語版はこちら)
6位 イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (日本語版) (英語版はこちら)
6位 MOTを極める ~最強の「知財戦略」と「プロジェクト思考」
6位 技術経営入門 改訂版
11位 プラットフォーム・リーダーシップ―イノベーションを導く新しい経営戦略 (日本語版) (英語版はこちら)
11位 技術経営の考え方 MOTと開発ベンチャーの現場から
13位 明日は誰のものか イノベーションの最終解 (日本語版) (英語版はこちら)
14位 生きた技術経営 MOT―プロジェクトマネジャーからのメッセージ
14位 MOTアドバンスト 技術ベンチャー―技術系のMBA

投稿者 motlab : 20:23

2005年12月18日

ET研究会に行ってきました Google流の研究

12月17日のET研究会に行ってきました。 今回はGoogleの戦略についてです。
議論の中で感じた大事な点は以下の通り

Yahoo!との比較

本来、GoogleはB2Cのサービス事業者というよりは、B2Cサービス事業者へ技術・サービスをOEM供給するプラットフォーム事業者である。 このため、マジョリティユーザの顧客獲得力を強さとするB2Cサービス事業者のYahoo!とはポジションが異なる。

PC業界に例えれば、Yahoo!は技術開発、プラットフォーム運用から顧客獲得までを垂直統合的に行うAppleモデルを指向しており、Googleは技術開発、プラットフォーム運用を主としてWintelモデルにおけるIntelを指向している。 

とはいえ、PC業界のIBM、Compaqに相当するYahoo!, MSNと対立する構図となってしまったので、Intelがやったような武器商人戦略がとれない。 このため、自らエンドユーザ向けにサービスを提供することも必要となっている。 基本的には、自らがサービス提供して市場を創造し、API公開してアフィリエイト経由でマスへリーチする、というのがGoogle流。 (IntelがIALを使ってやっているアーキテクチャリーダシップ活動に近い)

MSNとの比較

OEM供給を主体とするプラットフォーム供給者である点はMSNもGoogleも同じ。 MSNはプラダクト販売、物流のチェーンでプラットフォームを供給してきたが、Googleはオンラインのサービス供給の時代のプラットフォーム供給者である。 

投稿者 motlab : 09:16

2005年12月17日

2005年オープンソースの総括

Open-source in '05 -- simplification, assurance - Computerworld

Computerworldにのっていた2005年のオープンソース分野の動きの総括です。ポイントは以下の感じ

1. パッケージングが活発に
SpikeSource, SourceLabsやRedHatのCertified Stackなど

2. コンプライアンス、リスク管理を提供するサービスも増えた
BlackDuck, Palamida, Open Source Risk Management, など

3. 2006は淘汰の年??
今年は雨後のタケノコのように増えた。 来年は淘汰されるだろう。 Professional OSSのビジネスモデルが期待したほど儲からないことに気付き始めている。

4. 上位APのOSSが増えた
Content ManagementのAlfresco, グループウエア(スケジューラなど)のZimbra, CRMのSugarCRM(注目企業)など

5. 有料ソフトベンダのいろいろOSS戦略を打った
オープン化(例Solaris)、OSSソフトの買収(例OracleがInnobase買収)、など

個人的には、Professional OSS=プライベートOSS(コミュニティでなく私企業がソースを維持管理しつつ、ソース公開/無償使用許諾するモデル)が気になっています。

このビジネスモデル単独では期待したほど儲からないということがわかり始めていますが、一方で従来の有料ソフトベンダがパブリックOSS対抗として、プライベートOSSを提供する、という形態が定着するのかもしれません。SMB向けのエントリレベルはプライベートOSS、ハイエンド向けは従来のプロプライエタリソフト、というクラス分けをするイメージ。

そのための買収などの動きが結果として2の淘汰になるのでしょう。

投稿者 motlab : 14:51

2005年12月15日

ソフトウエアビジネスのサービス産業化(デスクトップ系) 

Can one man reprogram Microsoft? | CNET News.com
昨日のApache Tuscanyの話はサーバ系ソフトウエアビジネスのサービス産業化を示しているが、こちらの記事はデスクトップ系ソフトウエアビジネスの構造変化をよく表している。 

今までのソフトウエアビジネス
・ 物流型: 配送、インストールのコストが大きかった。
・ プロダクト販売型: プロダクト提供時に対価を回収 (一回払いのモデル)
⇒ この条件ではサプライチェーンの優劣がシェア争いの鍵となる。 この市場を最も熟知して、PCメーカーを通じたOEM供給、バンドリングなどの得意技を創出し、独断場を築いたのがマイクロソフトだった。

環境の変化
・ ブロードバンド化: 物流型からオンライン供給型へ
・ ユーザ増大: 広告モデルによる資金回収の実現
・ ブラウザ高機能化: ブラウザ上でインストールフリーのアプリサービスが実現可能に

こういった環境下ではマイクロソフトの強いサプライチェーンがうまく使えないので、戦況がリセットされてしまった。 ビルゲイツもこの環境変化をプロダクト販売型からサービス型への転換と表現している。

In a two-page note that accompanied the Ozzie memo, Gates compared it to one he wrote in 1995, "The Internet Tidal Wave," which assessed the Internet challenge of a decade ago. Microsoft, he wrote in the introduction to the Ozzie memo, was at similar crossroads. "This coming 'services wave' will be very disruptive,"

ところでよく考えると、サービス産業化の流れは共通だけど、サーバ系とデスクトップ系とに違いがある。

サーバ系のサービスビジネスは主にサポート(パッチ供給、SEコンサル、など)であるのに対し、デスクトップ系のサービスビジネスはソフトウエア機能そのもののオンライン提供である。 

となると、デスクトップ系のオセロの角はブラウザだろう。 インストールフリーのサービスを提供するとブラウザ依存となるから。 マイクロソフトがIEのシェアを死守できれば、インターネットサービスでもマイクロソフトが有利となるような気がする。 

投稿者 motlab : 00:14

2005年12月14日

ソフトウエアビジネスのサービス産業化 Re: ApacheのTuscanyプロジェクト

Apache年会からの速報ですが、SOA関連でTuscanyプロジェクトというのができるようです。

Apache Tuscany Project to Simplify SOA Development
記事からはプロジェクトの具体的詳細はわかりませんが、ヒントとなるのは下記の記述。 SOAの概念に基づく抽象的なサービス定義から実装コードのテンプレートを生成するような開発環境を提供するように思えます。

It is a project to bridge the gap between language-specific application component implementation technologies and higher-level SOA (service-oriented architecture) concepts and design approaches, the proposal for the project said.

面白いのは、このプロジェクトをひっぱっているのがIBM, BEAといった有料ソフトベンダの人達である点。自社で独自の開発環境を作って開発者を囲い込むのは難しく、オープンソースで開発環境を開発・提供することによりベンダ非依存の大きな開発者コミュニティを作る、という選択肢が合理的になっているのですね。 

いろんなレイヤのソフトがオープンソース化、標準化されていくなかで、ソフトベンダにとっては開発環境が最後のロックインツールだと思うのです。 その最後の部分までオープンソースで共通化するとなると、ソフトウエアベンダとしてはサービスで競争優位性を築くしか手がなくなります。 ソフトウエアビジネスのプロダクト産業からサービス産業への転換がますます強くなっているな~、と感じました。

投稿者 motlab : 01:13

2005年12月13日

CiscoのSONA(Service Oriented Network Architecture)

Cisco eyes the application layer | InfoWorld | News | 2005-12-12 | By Stephen Lawson,Eric Knorr
SONA (Service Oritented Network Architecture)・・・よくわからないけれどLayer 7処理機能をノードにもたせる概念のようですね。 

下記の記述から察するに、CDN的な機能やプロトコル変換機能などを網内に配置するイメージなのでしょうか・・・  うーん、昔からよくある話のように思えてきた・・・ もう少し勉強してみます。

The core appears to be what Cisco calls an "interactive services" layer, which sits between the application and infrastructure layers and includes ANS. Giancarlo describes ANS as "a generic set of capabilities for improving the speed, accessibility, and interoperability of most any type of business application."

投稿者 motlab : 00:00

2005年12月12日

中国のLinux ディストリビューション、BEAのJVMを搭載

Experts Recommend Mixing Open-Source and Commercial
中国のLinuxディストリビューションのRed Flag LinuxにはBEAのJVMが搭載されているとのこと


投稿者 motlab : 02:01

2005年12月11日

ネットワークセントリック型への組織変革 日経ビジネス11.28号別冊

古い話で恐縮ですが、日経ビジネス2005.11.28号の別冊「マネジメント革新」がすごく面白かったので紹介します。

特集 「”個”コミュニケーション時代の到来」では、個客対応力が重要となっており、そのために現場が必要な情報共有をできるようにIT環境を整備したうえで、現場の人間の裁量範囲を拡大するように組織構造を変えていく必要がある、といったトレンドが紹介されていました。 既存の組織構造による活動を効率化するためにITを導入するフェーズから、ITを前提として組織構造そのものを変革していくというフェーズに入ったというわけです。 具体的には、情報収集、判断、指示といったプロセスを変えていくことになります。

そういえば、最近、軍事研究の分野でも、RMA (Revolution in Military Affairs)Network Centric Warefareという話が盛んだそうです。 上記の話と同様で、IT技術を前提として軍事行動のやり方を変えていく話です。 特に、センサネットワークなどを活用しながら現場の兵隊による自律行動を伸ばしていく、といったことも考えられているようです。 

特集外の記事では、岩井 克人先生へのインタビュー、LLPの話が面白かったです。 いずれも、資本(お金)よりも人、知識の重要度が増しているので、株式会社という既存の会社制度に限界がでている、という話です。 Googleの資金調達方式(A株とB株があり、B株はA株の10倍の議決権を持つ)も問題に対する一つの解として紹介されていました。

最近、日本でも黄金株の是非が話題になっていますが、いってみればGoogle方式と同じようなもんですよね。 旧態の会社が自己保身のために黄金株を導入するのと、先端の会社が資本主義の限界を解決するために導入するのとで、モチベーションが違いますが・・・ 

クリステンセン先生が座談会記事で登場しました。 大企業がイノベーションをできない理由は既存事業のために最適化された判断プロセスでイノベーションをしようとしているから、といういつもの話です。 同時に先生は、大事な点として、、大企業の判断プロセスは既存事業のためには必要なものである。(ただし、イノベーションのためには別のプロセスを用意することが必要)と強調されています。 

そういえば、藤本 隆宏先生がトヨタの強さは良い意味で官僚主義にあるという論を展開されていますが、クリステンセン先生の観点でも、大企業のプロセス主義、官僚主義は既存ビジネスのためには必要なもの、ということなのですね。

投稿者 motlab : 21:03

2005年12月07日

オープンソース戦略の分類

Sun to offer core software products for free as open-source
Sun Gives Away Java Enterprise System, Other Software

サンがSolarisに続き、JAVA Enterprise Serverをオープンソース化するという。 オープンソースに関する最近の傾向を2x2マトリクスで整理してみた。 最近は図の赤のドメインのソフトウエアが増えてきている。 JBOSS社はこの形態をProfessional Open Sourceと呼んでいる。 有名な成功例としてはMYSQLがある。

oss-matrix.gif

Professional Open Sourceの合理性については、スタンフォードGSBのケース資料MYSQL Open Source Database in 2004に書かれている。 ポイントとしては、以下の感じ。

開発における試験コストを削減
OSやデータベースなどの基盤ソフトについては、試験コストが開発コストのかなりの部分を占めるが、オープンソースギークをうまく活用して、このコストを削減できる。
プロダクト開発戦略の確保
自社でプロダクトコンセプト、アーキテクチャ、開発ロードマップなどを策定できる。 コミュニティ開発のソフトウエアに比べて、戦略を明確にプロダクトに反映させやすい。
優良顧客は維持
ビジネス的には、オープンソースとすることで失う利益が多そうな印象を受けるが、有償サポートを求める企業は多いので、優良顧客を失うことはない。 (わざわざデュアルライセンスで提供しなくても、サポート収入で事業が成立する可能性もある)

マイクロソフト vs オープンソースコミュニティという構図はだんだん昔の話になりつつあり、いつの間にかソフトウエアビジネスの2.0ができつつある、ということかもしれない。

関連記事
eWeek 2005.10.3, Open Source Becomes Key Player in Business Models

投稿者 motlab : 23:11 | コメント (2)

2005年12月04日

LLPについて、参考本など

株式会社でない事業体としてLLC/LLPというのが制度化されたのですが、8月ごろから興味を持っていろいろ調べてきました。

初耳の方は、下記URLをご覧下さい。
経済産業省, 有限責任事業組合(LLP)制度の創設について

背景として、ITの世界が典型なのですが、お金の大小よりも知識、知恵の優劣がビジネスの成否に影響する度合いが強くなってきた、といトレンドがあります。 このため、出資金の比率で利益を配分する株式会社制度に限界が生じてきたというわけです。 これを解決するために、出資金の比率に依存せずに利益配分を決められるようにする制度がLLP/LLCです。 組合として事業体を作るのがLLP、法人(会社)として事業体を作るのがLLCです。

LLC/LLP制度が誕生した本質的な理由は上記の通りなのですが、僕は別の理由でLLPに注目しています。 複数の企業が共同で未開拓市場において企業する形態としてLLPが有効かも??、と着目しているのです。 特に、組合なので、損益計算時に、新組織の損益を各親会社に連結できるというメリットがあります。 黎明期において起業する場合のキャピタルコストが安くなるというわけです。

ただ、本当に有効かな?と思う点もあります。 大企業のベンチャーが失敗する理由の一つとして、「親企業への依存意識が捨てきれず、ベンチャーに必要なモチベーションが喚起できない」という問題があります。 LLPの形態では、むしろこの問題が強まってしまう恐れがあります。 

そう考えると、あくまでもスピンオフさせるまでのインキュベーションフェーズにおける組織形態としてLLP、という発想になるのですが、こういう中間解の存在がかえってスピンオフを遅らせてしまうのでは、という懸念を抱いてしまうのです。

以上が僕のLLPに対する思いなのですが、LLPの会計のしくみなどについて参考になる本を紹介します。

[1] 川田 剛・山田&パートナーズ、日本版LLPのすべて
企業がLLPのメンバーとなる場合について、各種の収入、支出の具体的処理はどうなるのか、が詳しく書かれています。 一冊だけ買うなら、この本を薦めます。

[2] 江戸川 泰路、日本版LLP(有限責任事業組合)のつくり方・運営のしかた
企業がLLPのメンバーとなる場合について、企業の従業員の労務処理などが書かれていて、参考になりました。


投稿者 motlab : 22:51

2005年12月02日

プレジデント 「やり抜く力」

プレジデントの255.12.19号の特集は「やり抜く力」。 思わず、買ってしまいました。

そう、ビジネスの成否を決めるのは、戦略論などの理論でなく、やり抜く力です。
これが強くなければ、いろんな環境要因に影響されながら漂流するだけ。

その「やり抜く力」を身につけるために、また方法論を模索してしまっている自分・・・・
この自己矛盾に思わず苦笑・・・

本来、人間の「やり抜く力」の欠如に問題があるのに、ツールや方法論に期待してしまう特性を僕は楽々ダイエット症候群3ヶ月英会話症候群と呼んでいる。 そして、この症候群に目をつけたビジネスモデルをぶらさがり健康器モデルと呼ぶ。

投稿者 motlab : 20:24

2005年12月01日

SSE (3): マイクロソフトの戦略

SSE (Simple Sharing Extensions)について、技術、アプリケーションと書いてきたので、三部作?の最後としてマイクロソフトの戦略について考察したことをまとめます。

マイクロソフトの現在の競合環境

MSの強み(S): デスクトップPCソフト(Windows, IE, Office)の圧倒的シェア
MSの弱み(W): オンラインパーソナルサービス(対 Yahoo!, Google)における遅れ。 
MSの機会(O): オンライン供給型のソフトウエアビジネス ⇒ Windows Live, Office Live
MSの脅威(T): 巨大ポータル(Yahoo!, Google)のパーソナルサービスによるデスクトップPCアプリ(MS Officeなど)の代替

脅威であるオンラインパーソナルサービスに対する対処方針

現在のパーソナルサービスは、同一ポータルに属するユーザ間でしかコラボレーションできないサイト囲い込み型である。。 このため、ネットワーク効果が強く働いて、MSよりもYahoo!, Googleの方が有利となる。 しかし、この特性をむしろMSの強みに変える方法がある。 それは、MSの戦略資産であるデスクトップPCソフトの圧倒的シェアを活かし、デスクトップPCの草の根シンジケーション、Ray Ozzie表現のmeshed worldにより、サイト非依存のコラボレーションを推進することである。  このコラボレーションの推進を通じて、職場(公)・オフ(私)にまたがる公私融合型のパーソナルサービスの提供者としての位置取りをする。 (Yahoo!, Googleのパーソナルサービスは完全私的利用に映る。)

参考:  Really Simple Sharing: Ray Ozzie氏のSSEに関するエントリ (「サーバ依依存のカレンダーって不便だよね~」という内容

マイクロソフトの打ち手

すでにオーガナイザ機能と融合しているOutlook ExpressにIE, RSS, SSEを搭載させるようなイメージで、コミュニケータをプロダクトとして出す。 (デスクトップPC間で直接RSS, SSEの交換をするよりも、Exchange Serverのようなサーバを経由して交換するイメージになるだろう)

問題はプロダクトのインターフェースをすべて標準にしたのでは、今度はオープンソースとの争いに埋没してしまう点。 なので、標準を強く唱えつつ、プライベート拡張を少し混ぜるなどはやっていくのだろう。

投稿者 motlab : 05:43