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2005年05月05日
第6章 中国との戦略的つきあい方
日本のもの造り哲学 第6章のレビューです。 メインメッセージは、今後のアーキテクチャの変遷シナリオに応じて戦略を選択していくことが重要、ということです。 現状の分析や外資系企業が陥りやすい失敗、中国の今後の課題、などを論じています。
キーワード:
・多様性
・擬似オープンアーキテクチャ化、アーキテクチャの換骨奪胎
・技術的ロックイン
・コンポーネント戦略
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ポイント:
1. 能力と人件費に関して、地域や現場によって幅がある。 人件費が安い地域では、統合的なオペレーションの能力が低く、摺り合わせ型製品の生産は苦手。 一方で、上海や広州の外資系企業の工場では、多能工の労働者が育成されており、高品質の製品が生産されている。 しかし、このような地域では人材をつなぎとめるために、人件費も高くなる。
2. 外資系企業が中国で摺り合わせ製品の生産を開始すると、いつの間にかそのアーキテクチャに基づく部品のコピーを生産する中小の工場が多数出現し、コピー部品の寄せ集めで模倣製品を組み立てることが可能な状況が発生する。 これが擬似オープンアーキテクチャ、アーキテクチャの換骨奪胎である。 中国市場に進出した多くの外資系企業がこのパターンに嵌り、いつの間にかシェアを失ってしまう。
3. 擬似オープンアーキテクチャで成立している産業では、イノベーションが阻害されてしまう。 アーキテクチャによって設計上の制約があるし、熾烈な価格競争が存在するため独自のR&Dはやりづらいからである。 この問題が技術的ロックインであり、今後の中国の課題である。
4. 今後もしばらく擬似オープンアーキテクチャ型の産業が続く場合には、外国企業の戦略の一つとしてコンポーネント戦略が考えられる。 つまり、PC業界のインテルのように、コアとなる部品の供給者として利益を得ることを目指すこと。 別の、打ち手としては、品質の良いコピー部品を作る工場を選別しながら安価な中国市場向け製品の生産を開始することが考えられる。
5. 今後のアーキテクチャの変遷に応じて戦略を選択していくことが重要。擬似オープンアーキテクチャが継続する場合には4の記載の考え方。 別のシナリオとして、摺り合わせ型への回帰や真のオープンアーキテクチャへの転換などがありえる。
感想
擦り合わせの製品の品質は輸出レベルに達していないという分析を読んでも、自分自身が製品に接しているわけではないので、日本の製品と比較してどの程度の差があるのかが実感としてわかりません。 本から理解できることの限界を感じました。
コンポーネント戦略というのは成立するのかな…、と思いました。
技術的ロックインが障壁となります。 技術的ロックインによってアーキテクチャ革新ができなければ、コンポーネントの性能も"Good enough"なレベルに達してしまい、製品のコモディティ化に陥ってしまいます。 つまり、性能向上スペースを常に確保するためのアーキテクチャ革新が必要で、このためにコンポーネント周辺の部品メーカーをアーキテクチャ革新にもとづく技術開発へ誘導することが必要です。Intelのこの種の活動は Platform Leadershipに紹介されています。
擬似オープンアーキテクチャ型の産業では、コンポーネント周辺の部品についても技術開発するメーカーがいないわけですから、誰が周辺部品の技術開発をするのか、という問題に直面します。コアのコンポーネントだけブラックボックス化して、コンポーネント周辺についてはオリジナルの擦り合わせ製品の部品をコピーさせればよいのでしょうか… となると、その部品を開発した部品メーカーはすごく損ですよね。オリジナル製品設計の段階で、中国の部品メーカから優秀な会社を選別して、部品を共同開発すればよいのでしょうか…。
などと考えていくと、コンポーネント戦略というのは難しい打ち手だな〜、と思えてきました。
投稿者 motlab : 2005年05月05日 08:36