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2005年04月23日
第5章 「アーキテクチャの産業地政学」
日本のもの造り哲学 第5章のレビューです。 前半はなぜ日本は擦り合わせのもの造りを得意としているのかを歴史的背景から分析しています。 後半は、他の国・地域について、その国のもの造りにおける勝ちパターンを歴史的背景を交えながら紹介しています。 この章のメインメッセージは、歴史的背景・社会的背景により各国の得意能力があること、それを分析したうえで自国のポジショニング、他国との関係構築を考えることが重要、ということだと思います。
キーワード:
・継続成長期の経験
・偏在する組織能力
・オペレーション重視の擦り合わせとデザイン重視の擦り合わせ
・資本集約のモジュラー製品と労働力集約のモジュラー製品
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ポイント:
1. 国(や組織)の得意能力の主な決定要因として、その国(組織)の継続成長期の経験やその国(組織)に偏在する組織能力がある。
2. 日本が擦り合わせを得意とする主な理由は、戦後の継続成長期の雇用事情にある。 「人、モノ、金が足りない」という状況だったため、従業員や下請け会社を大事にするのが慣行だった。 このため長期雇用・長期取引が組織の基盤となり、そのうえ内外の厳しい能力構築競争をしのぎながら進化した結果、統合型ものづくりの組織能力を身につけた。
3. アメリカはもともと移民国家であり、能力があるものを積極活用することで国家を築いてきた。 このため、まずルールを決めて、ルールに基づき個人や組織が競争する、というしくみが必要であり、エリート層はルールやシステムの構想力を身につけている。 このため、モジュラー型を得意としている。
4. 他の国や地域の得意分野を分析すると下記の通りとなる。
・ ヨーロッパ: 表現力を重視する擦り合わせ (対比: 日本はオペレーション重視)。
・ 中国: 労働集約的なモジュラー製品。 豊富な出稼ぎ労働者の供給力が存在するため。
・ 韓国: 資本集約的なモジュラー製品(例:DRAM,汎用液晶,など)。 大企業、特に財閥、を軸とした経済社会であるため。
感想:
この章は特に面白いです。 上記以外にもASEANと中国とを比較しながら、ASEANは多能工の供給力で中国をしのぐことを目指すべき、などの分析があります。
前章の感想として、「日本は擦り合わせが得意のわりには、ユニークな製品が少ない」と書きましたが、この章には表現力重視とオペレーション重視という擦り合わせの分類を読んで、納得しました。
なぜ、ヨーロッパが表現力で日本がオペレーションになってしまうのかは解明されていません。 原因なのか現象の一部なのかはわかりませんが、教育の違い、も関係あるような気がします。 例えば、大学入試のしくみがぜんぜん違うので、エリートが身につける能力も異ることとなります。 まぁ、最近は日本でも、一芸一能入試などが採用され、少しずつ改善されているようですね。
投稿者 motlab : 2005年04月23日 17:16