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2004年02月26日
2章: インテル きっかけはPCIバス
2章は1990年代前期においてインテルがプラットフォームリーダになっていった状況を
インテル経営者の視点で解説しています。
当時の状況
自社ビジネス(インテルビジネス)の状況
- マイクロプロセッサというPCの一部品のサプライヤに過ぎなかった
- ムーアの法則でマイクロプロセッサの性能は18ヶ月に2倍のペースで上昇していた
- 次世代製品のために数千億円という莫大な開発投資が必要な一方で、次世代製品への需要が不確実だった。 次世代製品の性能をPCが活かしきれるか、ユーザが必要とするか、が不透明だったからである
環境(PC業界)の状況
- PC-ATアーキテクチャに基づきPC業界は分業化され、部品毎の専業ベンダが存在していた
- PC-ATアーキテクチャは時代遅れになっており各部品の性能進化を最大限に活かすことができなくなっていた。 特に、ISAバスによるデータ転送速度の限界がボトルネックとなっていた。 PC-ATアーキテクチャの老朽化がこのまま放置されれば、いずれPC部品の市場もコモディティ化することは明白だった。
- IBM、CompaqなどのPCベンダはそれぞれ独自の次世代データバスを提案していた。 これは、PC-ATの後継となるPCアーキテクチャをPCベンダが再び垂直統合的に開発することを意味していた。 しかし、複数のPCベンダが均衡してシェアを分け合っていたため、IBMですら周辺の部品ベンダの協力を得ることができなかった。
インテルにとっての機会
- インテルがデータバスの業界標準化に成功すれば、PC部品の市場のコモディティ化を回避できる
インテルにとっての脅威
- PCベンダがそれぞれ独自に次世代のPCアーキテクチャを推進し続ければ、 インテルはPCベンダ毎に次世代プロセッサを開発せざるおえなくなり、開発投資の回収が困難となる
インテルのアクション
- 業界のアーキテクチャリーダシップを確立するため、1991年に Intel Architecture Lab (IAL)を設立する。
- IALの最初のプロジェクトとしてPCIバスの業界標準化を推進する
- PCIバスの特徴として、 プロセッサの型の違いを吸収してプロセッサ非依存のインターフェースを周辺パーツに提供するアダプテーション機能をチップセットに提供させることにした。 これによって、チップセットさえ再設計すれば、他の部品を再設計する必要なく次世代のプロセッサを商品化できるようになった。
- PCIバスの推進によってPCベンダとの対立が発生することが予見された。 インテルがPCアーキテクチャのリーダシップを握ることは、PCベンダは自社製品を他社製品に対して差異化できなくなる。 中小のPCベンダも参入し、PC市場がコモディティ化する事態が予想されたからである。 このような状況で、少なくとも1社以上の大手PCベンダのサポートを得ることをPCIバス推進の条件とした。
- 既存のチップセットメーカがPCIバスの業界標準化に懐疑的であったためチップセットの自社開発を始めた。 このことは、成功に必要なチップセットを確保するだけでなく、PCベンダのシステム設計負担を軽減することにもなり、結果的にIBM, CompaqがPCIバスを採用することへつながった。
インテルは、PCIバス業界標準化の成功体験を活かしながら、その後もUSB,AGPなどの業界標準を確立し、PC業界のプラットフォームリーダの地位を確立する。
2章考察: インテルの特異性
他のプラットフォームリーダには、周辺プレーヤを自社製品にロックインさせ、競合他社に対する優位性を確保する目的でプラットフォームリーダシップを推進している会社が多いような気がします。インテルのプラットフォームリーダシップ活動はこれらの会社のものとは一線を画しています。
インテルにとっては、プラットフォームリーダシップは自社製品に対する性能要求を喚起するためのものであり、プラットフォーム自体を競争力の源泉としようとするものではありません。
CPUの開発スピードという本来のコアコンピタンスに対して自信があるから、
インテルはこのような戦略をとれるのでしょう。これが本当の自転車操業ですね。
投稿者 motlab : 2004年02月26日 22:33