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2004年08月01日
企業向けIMの動向が示すビジネステンプレート
ここ1~2ヶ月間の間、企業向けIMに関するニュースがたびたび聞かれました。 振り返ってニュースを読んで、根底にある潮流を分析してみました。
まず、ここまでの経緯をまとめます。
1. Yahoo, AOLが企業向けIMを強化
数年前から米国では無料のコンシューマ向けIMソフトをダウンロードして使う企業の従業員が増えていました。 一方で、この現象に対して企業の情報システム管理者は社内情報漏えいなどのリスクを気にしておりました。 そこで、AOL, Yahooとしてはこの機会をとらえてセキュリティ機能を付加した機能追加版のIMサービスを企業向けに提供することを始めました。 昨年秋頃はその動きが活発だったようです。以下の記事を参考としてご覧下さい。
[1] ComputerWorld.com 2003.10.16 Microsoft, Yahoo and AOL boost business IM wares
2. Yahoo, AOLが有料企業向けIMから撤退
今年の6月になってAOL, Yahooがそろって企業向け有料IMサービスから撤退することを発表しました。
[2] CNN.com 2004.6.17 Yahoo scraps enterprise messaging
[3] eWeek 2004.6.18 Yahoo Yanks Price Tag from Enterprise IM
[4] CNN.com 2004.6.22 AOL quits enterprise IM game
[5] CNN.com 2004.6.23 Corporate IM not an instant success
理由として、以下の二つが挙げられております。
(1) AOLやYahooは消費者向けのイメージが強すぎて、企業に対するブランド力、営業力が弱い。 一方で、企業向けIMにはIBM, Microsoft, Sunなどの企業に強いソフトベンダが既に進出している。 例えば[4]には以下のくだりがあります:
At least one expert believes that there remains a significant opportunity to market IM software and services to businesses, but he said AOL's consumer image made it hard to convince corporations to buy in. Charles Golvin, an analyst at Cambridge, Mass.-based Forrester Research, feels that outfits such as IBM's Lotus group, Microsoft and Oracle have a better chance to effectively deliver IM for businesses.
(2) IMに関するセキュリティリスクが認識はされているが、顧客を動かすほど表面化していない。 一方で、提供されているセキュリティ機能にも説得力がない。 例えば[5]には以下のくだりがあります:
"Prospective customers were not as worried about security...as they should have been," said Sara Radicati, CEO of The Radicati Group, a market research firm. "And the security being offered was not convincing."
3. マイクロソフトの企業向けIMサーバがYahoo, AOLと相互接続機能を装備
マイクロソフトが今年度第四四半期にリリースするLive Communication Server 2005では、Yahoo, AOLのIMとの相互接続機能を提供することを発表しました。 相互接続機能は有料の付加モジュールとなるそうです。
[6] eWeek.com 2004.7.15 Microsoft Opens IM Server to AOL, Yahoo
[7] computerweekly 2004.7.15 Microsoft moves to link corporate and public IM networks
考察
BLOGしかりIMしかり、コンシューマドメインではインターネットサービスは無料という概念が定着してしまっており、新しいインターネット技術・サービスを創作しても広告以外にビジネス化する方法がありません。 広告以外の手段で収益を得る方法としてビジネス向けサービスは魅力的です。
一方で、イノベーションのライフサイクルを考えると、新技術のエンタープライズドメインにおける使い道が見えてくる頃には既にベンダー競争が激化しているでしょうから、新技術の発明者としてはそれまでに無料サービスとしてコンシューマドメインに提供しながら、ノウハウを蓄積することが必要です。
つまり、新技術の最初の適用先はコンシューマドメインとして、コンシューマドメインで技術の特長・利用メリットが認知され、エンタープライズでの使い道が見えてくる頃に、エンタープライズで収益を拡大していくことが理想的です。
コンシューマドメインからエンタープライズドメインへビジネスを拡大する際に、コンシューマ向けの事業者は役者が違うと言われてしまうので、SI業者や企業に強いソフトベンダとのパートナシップを確立していく活動が必要になるのでしょう。
このようにしてビジネスを成長させることがインターネットにおける新技術インキュベーションのテンプレートになっていくのかも、と思いました。
投稿者 motlab : 2004年08月01日 10:57
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